日本には幾多もの問題がある。電通問題からみえてくる長時間労働、医療費の高騰、中国の南シナ海への進出による軍事バランスの崩壊、高学歴大学生の不祥事の裏に見える知の劣化など種は尽きない。だが、これらの問題は日本社会の表層的な事件に過ぎない。どうすれば日本は変わるのか?それは、まず日本文化の特質を論じなければいけない。では、何をもって日本文化を論じれば良いか??日本の知識人や大学の研究者、幾多の起業家たちが決して指摘しない事象とは
そう、女子会である
私は女子会を見れば今の日本の本当の姿、それに準ずる日本の諸問題の原因が分かる、そう直感するのである。
今、なぜ女子会なのか
先ずは、Google検索の結果を見て欲しい。
結果を見れば一目瞭然である。国民的人気アニメであるドラえもんを、遥かに凌駕する女子会の凄さがわかるだろう。日本政府が進めているクールジャパンの筆頭格はアニメであるが、そのアニメの代表作を超えるのが女子会である。経済効果の確かな数字は分からないが、2000億円程度あるそうだ。
ドラえもんで日本文化を評論できるならば、女子会でも容易であろう。ここで、今話題の人工知能を考えてみる。西洋では人工知能の発展によりロボットが人間を殺す(映画だと、アイロボットやターミネーターなど)、また事業家のイーロン・マスク氏*1や物理化学者のホーキンス氏*2は人類が滅ぶと悲観視している。だが、日本は人類とロボットの共存は可能であるとドラえもんを見る限り認識できる。人工知能に対しては楽観的だ。つまりドラえもんを研究すれば、日本文化がある程度理解できると思っている。
よって、ドラえもん以上に日本を象徴する女子会に参加すれば、日本の問題点や日本文化が浮き彫りになると考えた。女子会に混ぜてもらえばいいではないか、という批判はあるだろうが的外れである。誰一人として、私を誘ったことなど無いのだから。 (ただ、西洋の女子会に関してはデータ不足も伴い論ずることはできなかった。誰か外国人の可愛いパツキン美女を紹介してください。すみません。)
そもそも、女子会はなぜ開催されるのだろうか?
ある女性がこんなことを言っていた。
女子は女子会を通して、自分の存在を確認している
ハイデガーの”現存在”のような哲学的問答を女子会でしているのだろうか、という感想を抱く。が、兎にも角にも行ってみなければ分からない。体験を通じて、女子会が開催される理由を調べていきたいと思う。最高に楽しんでいきたい。
新宿。そこは人が蠢く東京の摩天楼。そんな場所に一つのオアシスが存在している。
そう。ラブホテルバリアンリゾートだ。(新宿本店)
新宿歌舞伎町からは少し離れていて閑静な場所にある。
女子会の看板が私の目に映った。実際に行われているようだ。
日本には存在しないであろうアジア感漂う仏像が私を誘惑してくる。
早く来い、早く来いと。お前の本性を見せてみろ、と言わんばかりに。
ホテルが近づくにつれて、異郷の地へといるような感覚が私を支配した。
そして中へ入っていくと、そこには都会のオアシスが存在していた。南国の香りが、ストレス社会で疲れた私を包み込む。
フロントには女子だけの集団とカップルが混在し、前者の方が多数派だった。
「えっ、この男一人?きもっ」
「なに、この三脚。撮影?まじやばい」
これは、幻聴だろう。
また、フリードリンクに加えてワイン樽、ビリヤード台、ダーツ、カラオケ、マッサージチェアなど、ブラック社会により摩耗しきった日本人を堕落させる拷問器具−もちろん、いい意味で−が取り揃えられていた。
そして、無料のアメニティも充実している。お泊まりなので、これは非常に嬉しい。ドライフルーツやお菓子類、また歯間ブラシなどのケア用品も充実していた。この時点でテンションがMAXなのは言うまでもない。
そして、世界の塩もあった。お風呂に入れるらしい。
この時に何をチョイスするかで、女子会の質が左右される。それを感じ取った私は腫れ物を触る外科医のように、慎重かつ迅速に前菜(オードブル)を取揃えることにした。
そしてエレベーターを上がり、ロイヤルタイプの部屋へ向かう。ロイヤルタイプは、マッサージ機・ベッド共に2つ揃えており、グレードの高い部屋である。
こ、これが
ロイヤルタイプ
長時間悩んだ挙句、私は前菜として白ワイン・塩・ドライフルーツ・柿の種を持ってきてしまった。これはもしかすると、女子会の写真では映し出されない暗部なのかもしれない。女子会の膿というべきだろうか。
ちなみに、塩はヒマラヤ:日本:イタリア:=5:3:2の割合で混合した。
そして、まずは記念撮影である。女子会に参加するのは初めてであるので非常に緊張している。
少し胸が重くなったと感じたが、気のせいだろう。
オニオンスープを飲んで、冷えた体を温めなおす。
これは女子会で多用される、顔の横に手を添える、という高等テクニックだ。
科学的に証明されているのか分からないが”小顔効果”があるとされる。
本当かどうかは分からないが、これがモチーフとなり
このシーンが生まれたという。
マッサージチェアによりバキバキになった腰のHPを回復させる
そして軽食を食べ終わったら、都会の薄汚れた空気を肌からwash outするためにお風呂に入る必要がある。
これは、ホテルの女子会プランの特典についてくるフラワーバスである。 浮かばせるだけでは、奇妙な感じだが
ジャグジー機能をオンにすると
たちまち躍動感が生まれる。水を得た魚、とはこういった場面を形容する際に用いるのだろう。
シャワーからはじき出される水圧も、家のものとは全く違い、体の隅々の穢れが落ちるような気がした。もはや気持ちよかった。 シャワーだけでも来てよかったと思える、これが女子会の真髄なのか。
バスタイムが終われば、次はディナータイムである。
だが、その前に顔のケアをしなければ
肌がヒアルロン酸で包まれているのが、手に取るようにわかる。
念願の女子会での食事。女子会の十八番と言えば、パンケーキやハニートーストであろう。私も頼むことにした。(部屋のテレビから頼めるので、外に出る必要はない)
ポテトも頼んでしまったが、カロリー数がすでにやばい。いや、ヤヴァイ。推定2000Kcal。成人女子の1日の摂取カロリーの1700Kcalはおろか、成人男子の1日平均摂取カロリー2000Kcalを1回の食事で補うことになる。医学的に、これはマズイ。
そして、女子会には必要不可欠なシャンパン。親切なことにシャンパングラスは2つ置いてあった、これが世界に冠する日本のOMOTENASHIなのだろうか。
実際に食べてみる。
甘い
甘い!
甘い!!
甘すぎだろ
の一言に尽きる。無論、美味しい。しかし、もしハニートーストがそこまで美味しくなかったら?この疑問を考えた途端、日本の問題点が浮かび上がってくる。ここで一つ、女子会の会話を想像してみよう。
女子A:このハニートースト美味しい〜♪
女子B:本当に最高ー!きてよかった!!
女子C:えっ、普通じゃない?
女子A:え
女子B:は
女子A:まじ、フザケンナ
女子B:ホント、Cって空気読めないよねー
ハニートースト=善という空気の中で、率直な意見を言えば確実にこの女子Cは死ぬー社会的に、という意味でー。女子会に参加をすれば、「ハニートースト超美味しい!最高にデリーシャス!!」という意見しか通ることは無くなる。そして、「このハニートースト別に・・・」という正論は通らなくなるのである。
同様のことが起こるのを、稀代の日本研究家である山本七平は太平洋戦争(大東亜戦争)時の戦艦大和出撃に着目して論ずる。(ちなみに、小池百合子都知事は豊洲問題の記者会見の際、山本七平の『空気の研究』という本を引用した)
沖縄でアメリカとの艦隊決戦をする際に大和は出撃するのだが、明らかに勝算はなかった。それより前に、同じような状況であったサイパン陥落時には出撃せず、沖縄の場合は完全に”空気”により出撃が決まったという。*3
つまり、ハニートースト最高≒戦艦大和は出撃する、でありいかなるデータ・専門的知識があったとしても、ハニートースト、普通じゃん≒敗れるので、大和は出撃しない、という冷静な意見は黙殺される。これが女子会の怖さ、いや日本の怖さであろう。
また、ここで一つ問題が生じる。食べきれない。
半分はおろか、1/4も食べられない。昼は女子会の為に抜いてきたというのに。女子全員で共有するとはいえ、ペロッと食べるようなことがあれば、これはもう事件である。女子会に参加した女子は、胃が拡張するのだろうか。
そして、部屋をオシャレにするために風船(ハート型バルーン)も持参した。
60個超は下らないだろう。
部屋の改装イメージは下の画像である。
挑戦してみた。
なんと、3つしか膨らますことができなかった。
私自身、大学ではサッカーに勤しみ運動量もとい肺活量には自信があった。しかし、この体たらく・・・なぜだろうか。
女子会では部屋が風船で埋め尽くされ、その数は100個は下らないだろう。勿論、4〜5人でやるといっても、1人平均20個ほどの風船を膨らます必要がある。
これらのことから導き出される結論は簡単だ。
女子会に参加すると、胃の容量や肺活量を含め、身体能力が激増する(女子は)
理由は分からない、ただ女子会に参加すると何かしらの遺伝子ーここでは仮に、JCK遺伝子としようーが活性化し、身体能力が激増するのだろう。そうでなければ、とてつもない量のハニートーストを食べ切ったり、100個超の風船を短時間に膨らますことはできない。JCK遺伝子を見つければノーベル賞など造作もないだろう。もちろん、改造人間を作ることも可能になる、悪魔の遺伝子だ。
女子会の効能が少し解明された後は、小休止である。
夜の東京をバックに、佇む。
寒い。女子会では、日々このようなことをやっているのだろうか。なんたる肉体改造。なんたる修行。か細い肉体の中には、強靭な精神が眠っているというのだろうか。これが、眠れる獅子。
そういえば、女子会では体を温めるためにこんな運動を行うと聞いた。
私もやってみる
ところで今は昔、奥の細道を執筆中の松尾芭蕉はこんな句を詠んだという。
女子会や
集めて早し
最上川
訳は、
女子会で女子たちが集まれば、あの最上川の激流のような凄まじい勢いが生じる。私も一度参加してみたいなぁ〜
というものである。
俳聖が何を考えているかは、凡人の私には到底理解できない。日本の歴史をもっと学ぶ必要がある。
そろそろラストスパートである。人間の三大欲求の一つである睡眠、この要素も女子会にとって重要なのである。
女子会は、寝る前が本番
女子は、普段話せないことを女子会で話すことにより情報共有をする。そして、危機管理をすることで、今後の生活に役立てるという。真似てみる。
私は問う。
「最近どう?彼氏できた??」
誰も答えてくれる者はいなかった。皆、彼氏が出来ていないのだろうか。私は、さらに続ける。
「私さ、実は彼氏できたんだ。超イケメン。でも、顔がめっちゃブサイク。そういうところが好きで、顔面にiphoneを大谷翔平バリの速さでブチ込みたいなって思わなかったり思ったり・・・あっ、私ばっか話しちゃってごめんね。皆どうしてるのかなーって気になって」
やはり返答はこない、皆寝ているのだろう。
「皆寝ちゃったかな。私も、もう寝よーっと。あっ、そういえば私、明日PPAP(
Peanuts Pan食べy あ(A)、ちょっと待ってやっぱり Paella(パエリア))するんだ。よかったらみんなも一緒にしよ…?」
そして、朝。
いや、周りには誰もいねぇよ。
いや、ハニートースト、カピカピだよ。
結局のところ、女子会が開かれる理由はなんだったのだろうか。
今までのフィールドワークから、以下の仮説を立ててみた。
- 空気の読み合いをすることにより、普段は磨かれない、生物に本来備わっていた生存能力を維持する
- 女子会に参加すること自体が、ある種の運動であり、JCK遺伝子(仮)が活性化し、身体能力が激増する
- 食を共有することにより、一体感を生じさせ帰属意識を高める
- 寝る間際、お互いの近況報告をすることで情報共有をして、危機管理をする
- 部屋を風船などで改装することで、オシャレを極める
- チョーー楽しい!!圧倒的な非日常感!!!!
など、色々と考えられる。この根底を流れている価値観・基本原理とはなんなのだろうか。浅学非才な私は、性夜聖夜であるクリスマスに以下の結論を出した。
女子会は祭りである。
普段、言えないこと・体に表せないことをこの女子会≒祭りを通して、ストレス・鬱憤を発散させる。それによって穢れが溜まらないようにするのではないか。
古来より日本は、農耕による疲れを祭り(相当、激しい)によって癒していた。最近人気を帯びているハロウィンも、その一環であろう。日本人は祭りを欲している。もちろん、日本人である大和撫子たちも祭りを欲しているのだ。
しかし、正確な結論を出すにはまだデータが足りない。もっと、多くの情報が必要だ。もっと、もっと、エビデンスが欲しい。日本のサンタとして、もっと多くの皆にプレゼントを届けたい。
女子会とは何なのだろう。ニッポンとは一体。
次回、
日本人とアメリカ人〜セックスアンドザシティにみる、女子会における比較文化論〜
乞うご期待。