そう、それは平日の夜だった。
高校の同級生同士で久しぶりに飲んでいた。渋谷のアメリカンという飲み屋だ。小綺麗な場所で、女の子も多い。野郎だけで飲んでいる人たちはほとんどいない。
そしていつも僕たちは彼をいじる
バイトはどーした、彼女は出来たか、進級出来たかなど正直下らない話だ。聞いたところで日本のGDPにはほとんど寄与出来ない。
バイトの話になり、彼はツタヤで働き沖縄出身の女の子と文化祭に行こうという話になったらしいが、結局LINEで既読スルー。彼女が出来る気配はない
またか。また同じ様な話。デジャブ。
結末は分かりきってた。予定調和。決してつまらないわけではない、ただ腹から笑ったかというとそういう訳ではない。ハハハッ、商業的な笑い、ビジネス笑いだ。
そして元彼女の話をしだす。
聞いたことはある、聞いたことはあるのだがよく憶えてない。その程度なのだ、その程度なのだ。
と、思っていた矢先、閃光が走る。
俺は結婚するまでSEXはしない
そんな…馬鹿な…
23歳にしてもう賢者になったというのか。
な…なぜだ。何故なんだ。僕たちは理由を聞かない訳にはいかなかった。
病気のリスクがある。
なるほど、一理がある。僕の友達にも病気になった人はいる。不安、恐怖の壁を乗り越えるのは容易ではない。えてして日本の20代の性交率が100%でないのも、それが要因の1つであることは間違ってはいないはずだ。
しかし、理由はそれだけではないはずだ。なんだ、なんだ、なんなのだ。
妊娠をさせるリスクがある。
違いない。違いないよ!望まれないで産まれてくる子供達はいるに違いない。避妊具をつけても妊娠率は0%になるわけではない。確かに結婚する覚悟がなければ性行為をしてはいけないのだろうか
熱い
なんて熱い男なんだ。
こんなやつがまだ地球上にいたというのか。
しかし僕たちも本当なのかどうか頭の中にクエスチョンマークが残り続けている。
あそこに座ってる女の子たちからどうしても性行為をしてほしい。お金がほしいわけじゃない、むしろお金をあげてもいいからあなたと交わりたいと言われたらどうするんだ?僕たちは問う
彼は断固として首を縦に振らない
これが鉄人
結婚して嫁が子供ほしくないと言ったらどうするんだ?と聞くと
パイプカットする
うわあああああああああああ
それな。とはならんぞ。パイプカットをするなんて、どういうことなんだ
んっ。待てよ
避妊具をつけずに性行為をしたい、ということなのか?
ふぁっ
そそそそそそそ
そしたらパイプカットするしか、なかろう。結局そういうことなのか。やっぱそういうことなのか。ルナルナなのか。
彼は精子を冷凍保存するともいう。意識が高すぎる
ただ
そんな覚悟があるのならば
彼女を作ることなんて簡単ではなかろうか
そんなことを思う華の金曜日であった